PS 100pieces 91-☆91独りでいたいの この静かな夜には 乱されたくはないの 波打つ心が ようやく凪いだいまは 寒さに震えるからだが 柔らかさを希い 縮んだかたちを ここで変えられるように 「きりぎりす なくや霜夜の さむしろに 衣かたしき 独りかもねむ」2011.02.19 ☆92 ゆらゆらと 波濤をゆく ベールのごと うろくずを 揺れに並べて もはや その痕は 落ちもせず 冴えもせず 重ね重ねて 色にいつなる 「わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の 人こそ知らね 乾くまもなし」2011.02.27 ☆93 僕はよいのだ 何があろうと たゆたう小船にのせられて 次の飛沫に還されても そのゆららの繋いだ ひとつをとれば かざして観える 万丈の生 「世の中は 常にもがもな 渚こぐ あまの小舟の 綱手かなしも」2011.03.06 ☆94 「み吉野の 山の秋風 さ夜ふけて ふるさと寒く 衣うつなり」 ☆95 天を覆い 地を塞ぐ袖を越え 音吐は 空に届いているのか まだ満ちぬと 押し出され 海鳴を聞き 次に立つ背は 「おほけなく 憂き世の民に おほふかな わが立つ杣に すみぞめの袖」2011.03.12 ☆95 天を覆い 地を塞ぐ袖を越え 音吐は 空に届いているのか 海鳴を聞き 次に立つ背は 数多の手の篤さを 確かに覚えて 「おほけなく 憂き世の民に おほふかな わが立つ杣に すみぞめの袖」2011.03.19 ☆96 木々にはとけぬ 淡き色降り初め 凍てつく窓辺に ひらと観る光華 いまは去るとも また巡りくる時 「花さそふ 嵐の庭の 雪ならで ふりゆくものは わが身なりけり」2011.03.19 ☆97 「来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くや藻塩の 身もこがれつつ」 ☆98 かみがもに うつる夕映え 熱おびる日も ようように終わり きょうも炒られ あすは雨かぶり 馬上に屋宇あるごとの 夏も過ぎしか 「風そよぐ ならの小川の 夕暮は みそぎぞ夏の しるしなりける」2011.08.06 ☆99 知ってしまったから あなたを想うの 想ってしまったから あなたを哀しむの 凪いではすぐに 湧きあがり たなうらにさえ 蠢きを伝え このうつしみゆえに あなたがいるなら 「人もをし 人もうらめし あぢきなく 世を思ふゆゑに 物思ふ身は」2011.04.01 ☆100 たとえ のきばがうせようと あなたのいる ここが陽の元 千歳を いくたびもくり返し 昔のうえに いま今を重ねて 「ももしきや 古き軒端の しのぶにも なほあまりある 昔なりけり」2010.04.01 ジャンル別一覧
人気のクチコミテーマ
|